時代が何ともいけないねぇ

福島で原発事故後、甲状腺異常を示す子どもが激増している。甲状腺がんが発症した子どもは５０人を超えた。通常１００万人に一人とされている甲状腺がんの発生確率が、４０００人に一人の比率にまで上昇しているわけで、２００倍以上の発生確率が観測されているのである。このことについて福島県は、全数調査が発症者数を増加させているわけで、事故との因果関係は考えにくいとの見解を示している。だが、これだけの現実が広がっているのだから、「考えにくい」とする方がおかしい。因果関係を疑うのが常識だ。『美味しんぼ』が激しい攻撃を受けたが、作品の中で登場した井戸川双葉町町長は「私も鼻血が出ます。今度の立候補を取りやめたのは、疲労感が耐え難いまでになったからです。福島では、同じ症状の人が大勢いますよ。言わないだけです」という場面が問題とされた。だが、鼻血を出した人が大勢いるのは真実であり、嘘だと判断するのはおかしい。出版社に政治的な圧力がかけられたのであろう。放射性物質が付着した微粒子が鼻腔内に入り、低線量で鼻血が出る現象があり、医学的根拠がある。「福島に住んでいる人達の心を傷つけるから、住むことの危険性については言葉を控えるのが良識だ」というのは間違っていると思う。放射能による深刻な健康被害が広がっている可能性があるのだから、福島の人たちに危ない所から逃げる勇気を持ってほしいと思っている。私たちの世代はもうすぐ死んで行くが、未来につながる無数の子孫がいることを忘れてはならない。あの戦時中ですら５０万人の子供たちを疎開させたのだから今の時代にできないことはない。