人生は、どうせたった一度だけの旅じゃあないか。自分は、できるだけいい旅をしたいだけなのだ。旅の場所はこの世の全部。旅とは出逢いのこと、人は結局、みな偶然の出逢いを求めて旅をしている。その旅こそが私が存在した時間の証なのだ。ともすれば人は自分の力で生きていると錯覚しがちだが、そんな力は人間にはない。誕生それ自体が自分の意志や力とは無縁であり、生きているさなかは確かに見えるその意志や力も、死の前では生まれた時と同様にまったく無力ではないか。要するに私たちは、最初から最後まで自分のことを自分の意志で何も決めることができないのである。だから人は生きているのではなく、ただ生きさせられているだけなのかもしれない。いずれにしても残された時間は少ない。今の私にとって、写真を撮ることとは自分の生を確認することであり、偶然による新たな現実に出逢い、自らの固定した意識を捨て去り、また新たな意識を造り上げること、そのキリのない運動そのものが、生きた証なのである。
写真の日々
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