老いて花が咲くように

浜田市立石正美術館で「石本正のアトリエⅢ」が開催中だ。日本画家石本正(93)はいまも京都のアトリエでクラシック音楽を聴きながら絵を描いている。完成が近づくと興味が薄れてくるようで一度に何枚ものパネルを用意して音楽に身をゆだねるように、あっちを描いたり、こっちを描いたり、自由に制作していると聞く。誰か傍にいないと食事も忘れて没頭してしまうそうだ。世俗にはまったく興味がなく、ただ絵を描くことだけがたまらなく面白いと言う。幼いころの故郷の思い出や若き日の経験が老いてその花を咲かせている。人生の面白さのきわみであろう。人はみな平等に年を取るが、彼のように好きなことだけで自由に生き、大いなる気力に満ち、年を重ねるたびに人生が面白くなる人間は幸せ者だ。身辺しがらみやら煩悩の絶え間がないのがこの私自身。さて、私はどう生きる。

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